「うっわぁぁぁーーーー!」
青年の焦った声が砂漠に響き渡る。
同行者2人は「またか…」という思いとともに声の方へ駆け出して行った。
冒険日和
事の起こりは、数時間前に遡る。
集会所にいたカータに、知り合いの狩人フォルティスが声をかけた。
黒髪で優しそうな顔立ちだが、これでもハント暦はカータより長い。
が、ランクはカータの方が上だったりする。
「カータ!お願いだから一緒に狩りに行ってくれない!?」
鬼気迫った頼みに、カータはNOとも言えず、なし崩しに彼女の狩りに付き合うことになったのだが。
彼女の狩りにはカータより先に同行者がいた。
フィンと名乗った青年は、へらりと頼りなさそうに笑って挨拶をしてくる。
「フィンは私と同時期にハンターになったんだけど、ちょっと問題があってね…」
フォルティスと同時期なら、カータよりもハント暦は長いはずである。
問題、とは。
「どゆこと?」
「なんか目に見えないマイナススキルが発動してるとしか思えないんだよね」
不思議そうに首を傾げたカータに、フォルティスは沈痛な面持ちで宣告した。
「まぁ、一緒に狩りに行けばきっと分かると思う」
すぐに分かった。
砦に行けばシェンガオレンに踏み潰されそうになり、雪山へ行けばドスギアノスにこれでもかと飛び掛られる。
フォルティスが「目に見えないマイナススキルが発動してる」と言いたくなるのもあながち理解できない話ではない。
モンスターに好かれているのか嫌われているのかは知らないが、やたらとフィンだけ狙われるのである。
そして現在進行形で、ディアブロスに襲われていた。
フォルティスが狩猟笛を使って強化と回復を始める。
普段は双剣使いのフォルティスも、フィンが双剣だからなのか今回の狩りではずっと狩猟笛か弓を使用していた。
カータは愛用のヘビーボウガンを構える。
狩りが終了した頃には、いくらカータでももうこりごりだ、と思うくらい疲れていた。
「今日は本当にありがとう」
申し訳なさそうなフィンに、パタパタと手を振ってみせる。
フォルティスも近寄ってきて、カータに笑いかけた。
「私からもお礼を言わせて。どうもありがとう」
いつになくしおらしい、と思った次の瞬間。
「という訳で、またよろしくね」
有無を言わせぬ笑みを浮かべる。
もうしばらく、災難からは逃れられそうにない。