おっくんは広い宇宙を彷徨う幽霊です。
白くてふわふわのからだで、気の向くままに旅をしています。
頭にかぶっているとんがり帽子がおっくんのチャームポイントです。
いつものようにおっくんがあっちこっちふらふらしていると、びゅうっという音がして突風が吹きました。
あっ!と思った時にはもう遅く、おっくんの帽子は吹き飛ばされてしまいました。
「待って、待ってよう」
おっくんは一生懸命帽子を追いかけますが、なかなか追いつくことができません。
はらはら、ひらひら。
帽子はまるでおっくんから逃げるように遠ざかっていきます。
おっくんも帽子を追いかけて、あっちへふらふら、こっちへふらふら。
そのうちに、とうとう帽子を見失ってしまいました。
帽子を追いかけているうちに、おっくんはいつの間にか雪の原っぱにいました。
「ねえねえ、黒い帽子を見なかった?」
近くにいた雪だるまに尋ねます。
「帽子?うーん、見てないなあ」
「そうかあ、ありがとう」
この辺りには落ちていないのかもしれません。
おっくんは別の場所を探すことにしました。
今度は日差しのまぶしい砂漠にやってきました。
近くには日光浴をしているサボテンがいます。
「ねえねえ、こっちに黒い帽子が飛んでこなかった?」
おっくんの問いに、サボテンは首を傾げました。
「黒い帽子?見てないよ」
「そうかあ、ありがとう」
ここにも帽子はないようです。
あちこち探し回ったけれど、帽子は見つかりません。
くすんくすん。
おっくんは悲しくなって泣き出してしまいました。
おっくんが泣いていると「どうしたの?」と声をかけられました。
「ぼくの帽子がどこかへ飛んでいっちゃったんだ」
おっくんは泣きながらこたえます。
「それはかわいそうに。一緒にさがしてあげるわ」
親切なひとはそう言って一羽の黒い鳥を呼び出しました。
「やあやあ、どうしたんだい?」
黒い鳥が尋ねます。
「この子の帽子を一緒にさがしてちょうだい」
「オーケー、どんな帽子だい?」
ふたりに向かって、おっくんは丁寧に帽子の特徴を伝えました。
「ふーむ、つばが広くてリボンのついている黒いとんがり帽子か。仲間達に見ていないか聞いてみるぜ」
黒い鳥がそう言って「おーい」と呼びかけると、どこからともなく同じような黒い鳥が集まってくるではありませんか。
「こういう帽子をさがしてるんだけど、見たやついないか?」
「見てないよ」
「知らないな」
「ぼく、見たかも」
最後の鳥に帽子を見た場所を教えてもらうと、おっくん達はお礼を言ってそこに向かいました。
教えてもらった場所に行くと、背の高い木の枝におっくんの帽子がひっかかっていました。
「ほらよ」
黒い鳥が帽子をとって、おっくんに手渡します。
「うわあ!ありがとう!」
おっくんは大喜びです。
「帽子、帽子、ぼくの帽子だあ!」
良かったね、おっくん。